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「Al pie de la Santa Cruz」 (1933) (十字架に膝まづいて)
Letra : Mario Batistella Música : Enrique Delfino

ストライキが宣言された
人々は飢えている
仕事は辛く
労賃は安い
血を流す騒乱の中で
雇う側を守る法律は
一人の男を逮捕する

男の親たちは知らない
男に罪の宣告があったのを
哀れな男の妻が 親たちを思って
嘘をついているから
奇跡が起きれば
男は無罪になるだろう
そして男の家に 昨日の幸せが
戻って来るだろう

その一方で
キリスト像の足元で
悲しみにくれる老いた母親が
泣きながらキリストに訴える
“あなたのその聖い傷にかけて
私の悩みと苦しみにかけて
私たちの息子にお情けを
主よ 息子をお守りください” と

そして老いたる父親も 祈ることさえ出来ずに
老いた妻と共に 震える声で訴える 
“私らは これほどの苦しみを受けるような
どんな悪いことを あなたにしましたか” と
老いた妻は言う
“主よ 息子をお守りください” と

男は足を縛られて
囚人を運ぶ船に乗る
男の妻はそれを見て
叫び出したくなる
腕に抱かれた幼子は
泣きながら叫ぶ
“パパを返して”
繋いだロープが解(ほど)かれて
船が岸を離れる時
最後の綱が大きく揺れた
呪われた船が視界から消えて
哀れな男の妻は
気を失って倒れる

邦訳:大澤 寛

jornal : 日給・日当
entrevero : 混乱・入り乱れ、 乱闘、 騎馬戦
llaga : 潰瘍、傷、外傷、創傷   (心の)傷、痛手
a la par : 一緒に、同時に
engrillado : engrillar = 足かせをはめる、自由を奪う、拘束する
planchada : (海)浮き桟橋、船に乗るために岸壁・地面などから船に掛ける橋  
amarra : (海)船舶用のロープ、 係留綱、 もやい綱
cabo = cordel (海)綱・ロープ