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匿名
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「Volvió una noche」(或る晩 戻って来た女)
Letra : Alfredo Le Pera (1904-35)
Música : Carlos Gardel (1890-1935)

あいつが或る晩 帰って来た 俺は待ってはいなかった
とても不安げな顔をしていたので
俺には出来なかった あいつに思い出させることが
あいつの裏切りと残酷さを
あいつは俺におとなしく言った “もし許してくれるなら
昔の時間が帰って来るわ 二人の暮らしに春が来て
何もかもが二人に微笑んでくれる”

それは嘘だ 嘘だと 俺はあいつに言いたかった
時は過ぎたらもう戻りはしない
俺の愛も同じことだ お前に繋がれていたけれど
今では もう蘇ることも無い
古い昔の亡霊にしか過ぎない
俺は苦しみを口に出さずに あいつを憐れんだ
あいつは 青い大きな眼を見開いて
俺の深い悲しみをすぐに読みとった
そして打ちひしがれた女の泣き顔で
“これが人生ね”と言った それきりあいつには会ってない

あの晩 悲しい 光りの無い眼をして
あいつは戻って来た 俺は決して忘れない
あいつのあの亡霊を恐れたことを
あの若さに狂っていた頃の
あいつは静かに出て行った 恨みごとも言わずに
俺は鏡を探した 自分の顔が見たかった
額には年月が刻まれていた
あいつもそれは憐れんでくれた

邦訳:大澤 寛

男が別れた女に再会するというジャンルだが、作詞がAlfredo Le Pera だけに映画のひとこまを観るような趣がある。
これと逆の情景が浮かぶのが 「Por la vuelta」 だろう。