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匿名
無効

「Un boliche」(酒場)
Letra : Tito Cabano (1928-88)
Música : Carlos Acuña (1915-99) 

どこにもありそうな街角の
珍しくもない酒場がひとつ
酔っ払いがひとり グラスの夢を壊している
私服がひとり現れて 小銭はなしでただ酒一杯
小銭は泥棒が持って行く 置きっぱなしのカニャ酒一杯
四人の手練(てだれ)がカードのゲーム 
ナイペをやったりトスカナをして
年金は全部すってしまう
大理石に肘をつき 留め金みたいにしがみつき
夜な夜な懺悔の酔っ払い

若者がひとり忍び込み
店の主人が怒り出す
ギターを持った流しがひとり
ごめんを蒙り 弦を調律
こんな風に 
カードと酔いとタンゴの坩堝
それは日常(まいど)茶飯のことなのだけれど
小さな女の子の声が聞こえる
“父さん もう帰ろ 母さんが呼んでるから”

どこにもありそうな街角の
珍しくもない酒場がひとつ
街灯がひとつ灯って 夜の唄を聴いている
この街に似つかわしくない女と
どこかのドアから大股で出てきた伊達男のお喋り

警官がひとり現れて この場の空気を目茶目茶に
街路(とおり)にはもう誰も居なくなり カードは誰かがひとり勝ち
一杯奢ると誘われて 直ぐにゲームに駆け戻る
勝った男が勘定場(カウンター)の前で 支払いに難儀をしてる間に 

邦訳 大澤 寛