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匿名
無効

Trago amargo (苦い酒)
Letra : Julio Plácido Navarrine (1889-1966)
Música : Rafael Iriarte (1890-1961)

かまどに近寄って下さい さあ ここの俺の傍の
そしてマテ茶を濃く淹れて下さい
その木切れをこちらに 火が消えているから
あの燃えさしを動かして とても濃く淹れて下さい
そこにある埃まみれのギターを取って下さい
あの娘が何度も何度も指板に唇付けをしたギターを
そしてそのリボンは取り外して下さい あの娘が
血も涙も無く無情に 俺のガウチョの心を騙して
縫い取りをしたリボンは

あなたは覚えていますか ああお母さん 
俺がどんなにあの娘を想い どんなに愛していたかを
俺はあの娘に命も 短剣(ナイフ)も ポンチョも捧げたのです
だけどお母さん あの恩知らずは逃げて行ったのです
その薪を消して下さい 俺の目に悪いので
涙が出るのです 何故だか判らんのですが
多分あの娘を忘れたくて 酒に溺れたくて
そしてあなたの近くに ずっと近くに居たいのです

泣かないで下さい ねえお母さん
俺がもっと辛くなるから
涙を拭いて下さい あなたの涙は俺を苦しめるから
そしてマテ茶をもうひとつ淹れて下さい 新しい葉を入れて
そしたら俺は 酒を呑む口に蓋をするから
暫くして 大平原の沼地に夜が来て
遠くの方で 祈りの声が聞えるとき
見捨てられたものたちのマリアさまを拝んで下さい
そして 俺の哀れなギターには布をかけてやって下さい

邦訳:大澤 寛