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匿名
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「Sueño de barrilete」(凧の夢)(1960)
Letra y música : Eladia Blázquez (1931-2005)
小さいときから 私は 
あの狂ったような夢を見ていました
子供の夢でした それは凧になること
凧になって 希望の風に乗って
雲の高みに登って行く 登って行く夢
私はこんな夢の世界で育って
ただ私の心の声だけを聴いていました
だけど 人生は玩具ではありません
夢を見ることなど 一文のお金にもなりません

私は 凧になりたかった
理想を高く求めながら 人生ってものは
食べるために全てを捧げ尽くすよりも
もう少し値打ちのあるものだと思いたくて
そして 今でも私は凧みたいなものです
意地悪な風に 糸を切られた凧
私は信心が足りなかったのか 
意志が弱かったのか それは判りません
多分私には もともと糸が付いてなかったのかも知れません

幾つも恋はしましたが がっかりするだけでした
与えるものは与えました 心までは売らないように
詩も書きました
人生って より良いものを苦しめて 傷跡をえぐり出す 
苦い散文でしかないことを忘れて ああ 人生って!
もう今では 私は この果ても無い退屈さが怖い
私は 微笑みも理想も 粉々にしてしまった
凧を見るたびに 自分に問いかけるのです
あの子供 何処へ行ったのかしら?
邦訳:大澤 寛

社会に鋭い批判の目を向けた詩人・作曲家・歌い手であるEladia Blázquezの傑作のひとつ。 原詩にはchicoやpurrete (いずれも子供・男の子の意) が使われているが、作詞・作曲・歌が女性なので敢えて女性の語り口で訳したみたもの。