返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

ホーム フォーラム 資料掲示板 大澤寛のタンゴ訳詞集 返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

匿名
無効

「Siempre se vuelve a Buenos Aires」(人はいつもブエノス・アイレスへ帰る)
Letra y música : Eladia Blázquez (1931-2005)

この街は 知らずに魔法に掛っている
帰って来たいと思わせる 魅力のある魔法に
良いことなのか 悪いことなのか 判らないけど
帰って来るのは 魔法の儀式
私はここの生まれ 他の場所ではあり得ない
帰って来る習慣の中に自分が居る!
自分を見直して そして失くしたものの値打ちを測るために
過ぎ去った人生の!

帰って来て 再た立ち去る時が来ている
もう行くのだけど 行きたくない気持ち
私自身の心の街角を曲がって 理解したい
誰もが 自分が生きていることの運命論に逃げ込まないことを
敷石に足を踏み下ろす
帰って来いと誘う薔薇が咲いている敷石に!

この街が本当にあるのだろうか こんな風にして
詩人の誰かが 私のためにこの街を創って呉れたのか!
この街は女みたいなもの 予言者で 
最後まで生贄を求める 宿命の女
だけど同時に 別の声 別の肌がある
カフェのテーブルには開けっ広げな空気がある
花への思いと 兄弟のような優しさのある手
そしてどの家の入口にも 愛の顔がある

私がこの町で生まれたのは 偶然ではない
ちょっぴり悲しく さびしがり屋の私
バンドネオンがひとつ 私たち二人がさよなら!を言うための
葬送の歌を弾いてくれるのも 偶然ではない
あなたにさよならを言うなんて 判るでしょう あり得ないことだと
本当にいつも いつもあなたが居るから 私は帰って来る!

人はいつも あの憂鬱な愛の形を求めて
ブエノス・アイレスに帰る
そのことが判るのは 望郷の思いに病んで生きねばならなかった
もう殆んど死に瀕した人だけなのだ

邦訳:大澤 寛