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「Shusheta」(1944)(気取り屋)
Letra : Enrique Cadícamo (1900-99)
Música : Juan Carlos Cobián (1896-1953)

フロリダ通りで皆が見る
ニッカボッカにとんがり帽子 そしてステッキ抱えた姿
その昔 若い頃 あいつは
昔のブエノス・アイレスの 大物ドン・フアン
ジョッキークラブの入口で
ボタン穴にはいつもカーネーションを挿していた

フロリダ通りで皆が見る
ニッカボッカにとんがり帽子 そしてステッキ抱えた姿
上流家系に生まれ落ち
どんな集まりでも人気者
ご婦人たちに囁きかけて
心を捉えてしまうのだった
パレルモの午後を 馬車に乗り
駆け廻ったものだった
そして 
このブエノス・アイレスっ子の征服者は
新たな出会いを求めに行くのだった

ああ あのプチ・サロンの日々
青春の狂気の数々よ
ああ アルメノンビルの
シャンパンタンゴのコーナーのひと時よ

みんな去(い)ってしまった
思いの籠った束の間のひと時のように
今に残るのは 君の心の思い出ばかり
フロリダ通りで皆が見る
ニッカボッカにとんがり帽子 そしてステッキ抱えた姿

邦訳:大澤 寛

(注)
“shusheta*”の意味はlunfardo の辞書によれば
  remilgado = (形)上品ぶった、偉そうな・偉そうにした
petimetre = (名・古語 女性はpetimetra)めかし屋、おしゃれ
cajetilla = (名・男女同形 ラ米 侮蔑的に)気取った、気障な
さらに
  名詞でsoplón = 密告・タレこみ・告げ口(をする人)
  形容詞でelegante = エレガントな
(「Diccionario del lunfardo」 Athos Espíndola による)
(注)
*Armenonville 1911年創業の高級キャバレー。ブエノス・アイレスに於けるこの業種の草分けである。常連客からは ”Armenón” の愛称で呼ばれていた。1913年からガルデル=ラサーノが出演。Roberto Firpo が「Alma de Bohemio」 をここで初演した。Juan Maglio ”Pacho” に同名の曲「Armenonville」がある。
(Horacio Salas の「El Tango = Una guía definitiva」から)