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「¿Por qué canto así?」 (俺がこう歌う理由(わけ))
Letra : Celedonio Esteban Flores (1896-1947)                      
Música : José Razzano (1887-1960)

ガキの時分(ころ)の俺には タンゴが子守り歌だったからさ
俺を眠りつかせるための 母親(おふくろ)の歌だった
そして 何処かの旧い中庭の葡萄棚の下では
バンドネオンがつぶやくのを聴いたからさ

泣き出しそうな 見開いた 哀れな俺の眼で
世間の無慈悲さの行列を見たからさ
そして 俺の優しい親たちの貧しい部屋では
貧しさが 冬の歌を歌ったからさ

そう 俺はタンゴの中で育ったのさ
憎しみと 悲しみと 貧しさから来る苦しみと
母親たちの泪と 腹が減ったら 
じっと腕を組んでいなければならない
強い男の意地で 大人になって行ったものさ
そう 俺はタンゴの中で育ったのさ
タンゴは 逞しくて 強くて なにか人生みたいなものを
なにか死ぬことみたいなものを 持っているからさ

俺は 幸運を求めてめくら滅法に歩き廻って
夢を繋ぎ合せて 人生を送ったからさ
俺は 決して花を咲かせない木だからさ
俺は 飼い主のいない犬だからさ

俺には 口には出さない憎しみがあるからさ
愛する時には 唇付けに血を流すからさ
俺は懸命に愛したのに 誰も俺を愛してくれなかったからさ
だから 俺の歌はこんなに悲しいんだ! だから、、、!

邦訳:大澤 寛