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匿名
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「Pompeya no olvida」(ポンページャは忘れない)
Letra : Alejandro Szwarcman (1961- )
Música : Javier González (n/d) 

部屋の中で 4月は留まったまま
時間は流れず 消え去ろうともしない
Cachi 通りの 灰色の大きな家の屋根の
日よけのアルミニウム(*1) の色に似た太陽が照らす

午後になると あの頃と同じ敷石道が
私に語りかける 4月に浮かぶ失われた過去を
そして私は 奇抜ななりをして ジーパンに夢をつめて
70年代(*2) の入口へ 戻って行く

Pompeya は忘れていない Famatina(*3) に住んでいた
アニスの匂いのするしゃれた小顔の女の子を 石蹴り遊びの恋を
街角の匂いを 皆が今 あの娘を探している
あれも4月だった

誰も知らない あの娘が今も夢を見続けていることを
そしてもう Cachi 通りを覚えていないかも知れないことを
せめて覚えて置いて欲しい Beatrizお祖母ちゃんが
もうずっと前から あの娘を探し回っていることを

昼寝のまどろみに 4月は留まったまま
私は 一面の敷石の広がりの中に居る
トラックが1台 ゆっくりと坂道を揺るがせて行ったが
見ていたあの小さな子供の影(*4) に気がつかなかった

私が あの午後を見ていた影だった
そして時々思うのだ 4月にPompeya 辺りで
臆病な幽霊がひとつ アニスの匂いのするしゃれた小顔の女の子たちを
連れ去るのだと 

(以下 繰り返し)
Pompeya は忘れていない Famatina に住んでいた
アニスの匂いのするしゃれた小顔の女の子を 石蹴り遊びの恋を     
街角の匂いを 皆が今 あの娘を探している
あれも4月だった

誰も知らない あの娘が今も夢を見続けていることを
そしてもう Cachi 通りを覚えていないかも知れないことを
せめて覚えて置いて欲しい Beatrizお祖母ちゃんが
もうずっと前から あの娘を探し回っていることを
邦訳:大澤 寛

(*1) 太陽光を反射させて熱が家の内部に入るのを防ぐために屋根にかぶせるアルミ板。隠喩で“冷たい”とか“色褪せた”を言うのかも知れないが、ここでは具体的な屋根の覆いのこと。
(*2) アルゼンチンの最後の軍政(Videla 将軍)がスタートしたのが1976年
(*3) 前出のCachi もこのFamatinaもPompeya 区の通りの名前。
(*4) 子供が事件の目撃者であるとはよくある