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匿名
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「Palomita blanca」(白い子鳩)
Letra : Francisco García Giménez (1899-1983)    
Música : Anselmo Alfredo Aieta (1896-1964)
あの娘(こ)がいないことは 私には苦しみ嘆くこと
あの娘を思い出すと 時々は幸せなのだけど
すぐに私を嘆きの中に閉じ込めて
どんなに遠くに行ったとしても
あの娘と一緒に居られなくては
私を慰めてくれるものは何もない
私が前に向かっても
心は後ろに残される
私が進む道は ひどく残酷に私を遠ざけて
あの娘の愛の優しさを私から奪う
そして私は 思い出の中だけであの娘に会い
うっとりと声を聴き 切なくあの娘に唇付ける
あの娘が傍に居るような気がする
こうして 夢を見ながら
私は さらに遠ざかる

白い小鳩が飛んで行く
あの娘の住む家の方に
“白い子鳩よ 悲しく捨てられたものへの
お前は想い出の便り!”
私が恋い焦がれるあの娘に会ったら
私が泣いているなんて言わずに あの娘に教えてやってくれ
あの娘無しで生きるのが 愛する人を失うのが
どれほど辛いことかと

前に歩みを進めよう ぼろ切れみたいな私の服よ
流れる風の中で 私たちは千切れ雲なのだ
愛する者の不在の中で 人生は過ぎて行く
愛するものに いつも別れを告げながら
“白い小鳩よ!”
夜も日も飛んでくれ 私の塒を探して
そして静かに飛びながら 空に書いてくれ
“あの娘は決してお前を忘れていない お前のことだけ思っている”と
あの娘には判らないだろう
愛するひとを 私は遠くに置き去りにはしなかったことを
私の心にむごい試練を与える悩みが 
ふと横合いからやって来て
あの娘を呼んでいることを

小道を彷徨い歩きながら
暗い遠くに見つめている
あの娘が捨てた故郷を
あの娘が私の腕の中で泣いたのを
別れにあの娘が振り向いて
薄いハンカチを振ったのを
そして遠く小さくなって行く
あの娘の姿を
そして私の心では 大きくなって行く
あの娘の可愛さと 私のこの嘆きとが
もうあの娘には会えないと

邦訳:大澤 寛

男歌・男の嘆き節なのだから、主語は“俺”としたいのだが、この歌詞には一種の優しさがある(=男っぽさが薄い)ので“私”としてある。

Bien : (単数)ここでは“幸福”
Embelesar : = encantar, fascnar, cautivar, seducer, embriagar
Recordación : = memoria 想い出、追憶・追想   remembranza : 記憶、追憶・追想
Pingo : (口語・俗語)襤褸、ぼろ布、 (複数)安物の服、 売春婦・あばずれ、 ほっつき歩く人
Ir de pingo/pingonear : 女性が家事を放擲して出歩く
  (ル)で一般的には“馬” “愛馬”
Nubarrón : 黒雲・雷雲・嵐雲
Rigor : 厳格さ、手厳しいこと、冷酷  de rigor : いつもの・お定まりの  en rigor : 厳密に言えば
Ladero/a : 横の・側面の
Tibio : 2. 熱意の無い・気乗りのしない・煮え切らない
Medir : (ラ米・アルゼンチン)medir las calles : 街をほっつき歩く・のらくら暮す・ぶらぶらする