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匿名
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「Noche de reyes」 (公現節の夜)
Letra : Jorge Curi (1895-1972)
Música : Pedro Maffia (1900-67)
他の誰も出来なかったほどに 俺はあの娘を愛した
あの娘に嫉妬を感じるまでに愛したものだった
あの娘のお陰で 俺は善良で 真っ当な 良い亭主になった
俺は生き方を変えて 働き者になった
あの娘と俺の運命が結ばれてから暫らくして
男の子が生まれたんだ 俺の家の宝物みたいな
俺はとても幸せだった 人生の行く道ははっきりして
真っ当な 働き者の 一家の父親であることで

だけど 或る公現節*の夜
家に帰りつこうとした時
あの娘が俺の親友と
浮気をしているのを見た
自分の愛情を傷つけられて
俺はこの屈辱に復讐したかった
そして怒りに駆られて*      *coraje には “怒り” の意味がある。同義語ira と重ねることで “怒り” を強調したもの
容赦なく二人を殺した

何と言う光景だったろう 聞いてくれよ 思い出したくもない
俺の胸を 恥と憎しみと恨みで一杯にする
善人であることに 何の価値(ねうち)がある 俺に復讐するだけでなく
俺の胸に苦しみの矢を撃ちこんだのだ
だから なあ 今日は公現節で
俺の子供は家の外に靴を出した
贈り物を入れてもらおうと その子は知らないんだ 母親を
不実で 行いの悪い*母親を 父親が殺したことを!      *falsa と canallaはほぼ同じ内容の語の反復

邦訳:大澤 寛

*公現節:キリスト教世界で1月6日は el día de los Reyes Magos という祝日であり、子供たちに玩具などの贈り物をする習慣になっている。(詳しくは「Chiquilín de Bachín」の解説を参照)
*最後の行の por falsa y por canalla は por ser falsa y canalla と ser を補えばよいと解釈した。
同じような少々怖い内容のものに 「A la luz del candil」 や 「Dicen que dicen」 などがある。