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匿名
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「Milonga en negro」(黒のミロンガ)
Letra y música : Edmundo Rivero (1911-86)
(Edmundo Rivero が俗謡を採詩・採譜・アレンジしたものとされている。 歌詞はHermanatango Letra-D掲載のもの。 仮に「黒いミロンガ」と訳したが「黒い衣装のミロンガ」「黒い人々のミロンガ」とすべきかもしれない)

あそこの黒い家の中 黒い夜 夜更けの空の下
黒い刻限に 黒い舞台が拡げられる
家の主人は黒く そこに住むひとびとも
だけどとても品のある 教養も欠けることのない
黒いひとたち

奥さんのトマサ夫人には 黒い娘がひとり居て
ひとりの黒い若者が 結婚したいと申し出る
そんな次第(わけ)で黒い花婿は 黒い思いにとらわれて
結婚式の催しも 不思議な黒いものにしたいと

黒い宗教(おしえ)に従って みんなは黒い教会へ
そこでは黒い衣(ころも)着た 黒い司祭が待っていた
教会の香り部屋では当番が 黒い背椅子に腰掛けて
黒い男がもうひとり 黒い祈りを捧げつつ
キリスト像に口づけを

新婚夫婦も義父義母も黒い
そして仮親たちもまた
みんなの衣装もまた黒く
つどう会衆もまた黒く
その黒い集いには 黒いワインの香が匂う

そしてみんなが座るところは
テーブルクロスもテーブルも黒
ゆったりとした黒い乾杯が済むと
黒い部屋で踊る黒いタンゴ

黒い披露の宴(うたげ)が済むと
新郎新婦はその場を離れ
黒いシーツの敷いてある

黒い部屋へと上って行った               
そこで真夜中になったとき
黒い儀式が行われ
黒い花嫁はベッドで眠り
花婿は床で眠りについた              

邦訳:大澤 寛