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「Milonga de Mataderos」 (マタデロスのミロンガ)
Letra y música:Edgardo Acuña
*Mataderos は地名。ブエノスアイレス州北北西に位置する旧い街区で畜殺場が多かった
皆さまにお持ちしましたこの唄の
揺り籠の地はマタデロス
私の思い出すところでは
学校で習ったものじゃない
どちらかと言えば街角で
教わった悪(ワル)のこの気分
私の唄うこのミロンガの
唄う気持ちは夢心地
他人様(ひとさま)が私に唄うから
私も勝手に唄います
私の方が本物と
言っても 皆さん
どうか怒らないで
取り繕っては唄えません
ミロンガの拍子は心の中で dentro心の奥で・胸の底で llevar調子・拍子をとる
嘘をついては暮らせません
人生が御伽(おとぎ)噺(ばなし)に変ります
このミロンガは嘘をつきません
ミロンガの拍子は心の中で
このミロンガを私が踊るのは
ブエノスアイレスに生まれた唄だから
そして私も下町育ち
そこの暮らしのスタイルも
私を通りに押し出すような trajinar忙しく立ち働く・あくせく働く
せわしく働くひとたちも
先刻(とっくに)承知しています
さて皆さまに申し上げます
この踊りとは 私を
いつかどこかの中庭で
捕まえてしまった幽霊です espectro = fantasma
牛飼いのひとりが口笛で
この踊りを教えてくれました
それ以来(から)私は世の中で
これを踊りまくっています
多分踊りの方が私を
見識ってくれてることでしょう
取り繕っては唄えません
ミロンガの拍子は心の中で
嘘をついては暮らせません
人生が御伽(おとぎ)噺(ばなし)に変ります
このミロンガは嘘をつきません
ミロンガの拍子は心の中で
このミロンガは嘘をつきません
私もこのミロンガを胸の奥に
邦訳:大澤 寛