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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「Mala suerte」(不運)1939
Letra : Francisco Gorrindo (1908-63) Música : Francisco Lomuto (1893-1950)
二人の愛は終わったのよ 冷たくお前は言った
心の中で俺は思った 多分お前が正しいと
そう思って俺は お前を独りにした 独りに お前の人生の主人に
その間俺は努めて心を弄んでいたものだ
そして強く目を閉じ 唇を強く噛みしめた
お前を見ないように お前に話しかけないように さよならと叫ばないように
そしてゆっくりと 町角のバーに向かった
少し*呑んで酒に紛らせるために お前の愛だったかもしれないものを    *cuatro は“少しの”“僅かの”

俺はお前に約束できなかった
生き方を変えると
俺は生まれつきならず者
そのままで死ぬのだろう
俺を呼んでいる 馬鹿騒ぎが
カフェが 仲間たちが
そしてミロンガ*があれば                          *このmilonga は踊りの場所
行かずにはいられない
お前には良く判るだろう 俺がどんな人間だったか
お前には良く判るだろう 俺が何を考えて来たか
俺の落ち着きの無さも
俺の出歩き癖も
運が悪いんだ 今日お前と別れるのは
運が悪いんだ 独りになるのは
何もかも俺が悪い
変えるることが出来ないのだから

判っている 俺の生き方は真っ当じゃないから
人は愛したら 愛にのめり込むものだから
そして俺は 金の鳥籠の中にいながら
気ままに空を飛びたくて泣いている鳥*のようなものだから          *jiliguero は(鳥)ゴシキヒワ
運が悪かったんだ だけど正直に言う
俺はお前に感謝している お前は好い女だった
何時の日か 人生が俺を厳しく責めるとき* *これは “死ぬ時” と訳しても良いだろう
間違いなく俺はお前を思い出すぜ                                邦訳:大澤 寛