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匿名
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「Luna」(月)
Letra : Homero Manzi (1907-51) Música : Lucio Demare (1904-74)

月よ  月よ
お前の光る粉末(こな)のような雨で 私の心は悲しみに包まれる
あの人の愛の歌を 私が聴くことは もう決してないだろう
月よ
私の愛を照らした月よ お前の光りをくれないか
去ってしまったあの光りにかえて 私にはない明りをくれないか
月よ
お前は知っている 私の悩みの暗さを
あの人が 泣き続けたのを
私は あの人が死ぬのを見た
あの人は決して 私が苦しむのを知らなかった
あの人の想い出は 長くて暗い影
あの人の想い出は 傷跡
月よ
私が失くした炎を貸してくれないか

あの人は
雲  鳥の羽根  雨の気配  海の味
夜明けのそよ風  揺り籠の歌  昔のロンド*             
壊れやすい鳥の巣**   命と夢  果実と花            
カードテーブルの色をしたジュース***   
雪の白さと炎の熱さ            
これがあの人の全てだった
そして今はもう そうではない
忘れ去られるだけではない

            
*ronda:(南米)子供が輪になって遊ぶ遊戯
**nido de cuatro ramas = 4本の小枝の巣  鳥は巣を沢山の小枝を組み上げて作る  僅か4本では壊れやすい
一般的に数字の4は “少ないこと” を意味することがある
***Fue jugo de verde brama (難解) jugo でなくjuego ならverde brama はトランプのゲームの一種だ が Raúl Berón は明らかに jugo と歌っている

月よ  月よ
蒼い とても蒼い顔をした お前の肌の光りは雪の色
遠くで 私から遠くで眠る 私の言葉が呼んでるのを知らずに
月よ
お前が降らす灰が庭を濡らす
そしてあの人は決して 私の許に帰ることはない
もういない恋人 凍りついた影 あの人の眠りは深いのだ
さよなら さよならと言って そして黙った
あの人が居なくなり 私は泣き続けた
あの人の匂いは 薔薇とジャスミンの間に
あの人の影は 沼に
月よ
決して 決してあの人は 私の許に帰ることはない

邦訳:大澤 寛