小松真知子タンゴ・ピアノ塾を開催

小松真知子タンゴ・ピアノ塾を開催

 

2019年1月29日、正月気分も抜けた一日に雑司ヶ谷のエル・チョクロで「小松真知子タンゴ・ピアノ塾」と題するライブが開催された。チラシには「ピアノが弾けても、アルゼンチンタンゴは弾けません。小松真知子がタンゴピアノの極意を惜しみなく教えます。」とあって、当日は寒い中、エル・チョクロはいつもより超満席の盛況で、普段より若い人が来場していたのが印象的であった。中でもオルケスタ・デ・タンゴ・ワセダのメンバーが多数詰めかけていたのは「矢張り」という感じであった。この企画は宮島将郎という人が主宰する「昔のテレビ局」が主催者で、撮影用カメラが4台取り付けられていたのが普段とやや異なる雰囲気の中で始まった。

最初に来場者全員に小松真知子自身が準備したレジメならぬ説明用の楽譜が手渡され、それを見ながら「タンゴのピアノはこういう風に弾くんだ」という説明を受ける仕組みになっていた。最初に言われた肝心なセリフは「タンゴアンサンブルにおいては基本的にピアノの左手とコントラバスがユニゾンである。但し、コントラバスの実音は表記される音より1オクターブ低いので、ピアノの左手は低めの音域を弾くようにする」であった。実際に小松真知子とコントラバスの田辺和弘がそれを実践すると、説明が成程と素人耳にも分かり、そう言われてみるとタンゴのピアニストは押しなべて誰しも左手でピアノの最左端の辺まではっきりと力強く弾いている理由が肯けた。その説明の後にフランシスコ・カナロの“センティミエント・ガウチョ”が演奏されたので、小松真知子の左手と田辺和弘の弓に注目して聴くことで実感した。

小松真知子の説明用楽譜には「tango-1:4beat、tango-2:sincopa、tango-3:3.3.2、tango-4:yumba、mironga、vals」とあり、それぞれのリズムの特徴とそれを表す左手の極意が「音付き」で説明され、コントラバスは田辺和弘、バンドネオンは早川純、バイオリンは吉田篤が夫々のパートを弾いてアンサンブルの妙を伝えた。

当日は謂わばタンゴ・ピアノの実践教室みたいなもので、生徒?として出席したタンゴ・ワセダのピアニストから既にセミプロとして活躍している守田春菜、本年度バンマスの伊藤龍、本年度幹事長の松本恵実にも実際に演奏させたほか、同席していたピアニストの丸野綾子にもフランシスコ・ペーニャの“オルガ”を弾かせていた。

また、特番という訳でもないがかつてオルケスタ・ティピカ・東京のピアニストを務めた刀根研二が編曲した“ラ・クンパルシータ”の楽譜を小松真知子が取り出し、それを居合わせていたクラシックのピアニスト下川玲子に初見で弾かせる一番もあった。下川は小松門下という訳ではなさそうでったが流石に初めて渡された楽譜を事もなげに弾きこなしたのは見事であった。

この日は左手の説明の傍ら結局16曲が披露された処で「やはりタンゴのライブである以上」と言って “ラ・クンパルシータ” で打ち上げになる処であったが、「これだけの企画を催行させてくれたお店の伊藤修作さんにも感謝しなければ」ということで最後は四重奏で “エル・チョクロ” が演奏されお開きとなった。

この企画はライブと同時に小松真知子によるタンゴ・セミナーで滅多にない意義深い催しであった。宮島氏の「昔のテレビ局」はネット配信する会社で、編集が完成し次第、ネットようテレビ番組として提供するそうである。今後もこうしたライブ・セミナーが開催されることを期待したい。

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