ライブレポート 「フアンホ・モサリーニを聴く」

フアンホ・モサリーニを聴く

 

2018年4月10日雑司ヶ谷の「エル・チョクロ」でグラン・タンゴ四重奏団を聴いた。この四重奏団の顔ぶれは:

バンドネオン:フアンホ・モサリーニ

バイオリン:  アントニオ・ユー

ピアノ:      イボ・デグレーフ

コントラバス:レオナルド・テルージ

というもので、マエストロはとくにいないようであるが、アントニオ・ユーが韓国ツアーのため組織し、日本に来る前に韓国で演奏をしていたらしい。フアンホはフアン・ホセ・モサリーニの息子で父親同様バンドネオン奏者として活躍しており、今回の日本や韓国だけではなくヨーロッパ各国でも演奏活動を行っているようである。コントラバスのレオナルド・テルージは昨年父親が訪日した折もメンバーにバンドネオンの早川純やピアノの久保田美希とともに五重奏団のメンバーとして加わっている。 フアンホは見たところ父親のフアン・ホセに似た風貌であるが、若いだけに中々力強い演奏を披露してくれた。中でも第1部の休憩の後、第2部の冒頭で“Quejas de bandoneón”をバンドネオンソロで演奏したのが印象的であった。

曲目は“Milonga del ángel”(天使のミロンガ)、“Verano porteño”(ブエノスアイレスの夏)“Decarísimo(デカリシモ)”といったアストル・ピアソラの曲が矢張り得意のようであるが、といってピアソラに偏る訳ではなく“Boedo”、“ Los mareados”、“ Mala junta”といったポピュラーな曲も他とは違った編曲で聴かせてくれた。

今回は4月9日と10日の2日間だけで、また韓国に戻るようで、多分アントニオ・ユーの関係でそうなるのであろうと聞いてみた処、現在韓国では多くの若い人たちがピアソラを始めとする現代タンゴを聴きにくるので大変張合いがあると言っていた。この辺りは日本の伝統的なタンゴ人とは趣を異にするようで、若干気に掛る処ではあった。

ところで、当日バンドネオンの北村聡とコントラバスの田中伸司が出演者としてではなく、一聴衆として聴きにきていたのは印象的であった。コンサート会場では時折見かける風景ではあるが、ライブハウスにこうした形で現れるのは珍しい方ではないかと思われる。日本の若手演奏家がこうして“お勉強”を重ねている姿は大変頼もしく見えたの一日であった。

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