エル・チョクロでの奥村友紀一時帰国ライブ

エル・チョクロでの奥村友紀一時帰国ライブ

                  町田静子(東京都・杉並区)

2019年10月4日、満席となったタンゴ・ライブの聖地、雑司ヶ谷の「エル・チョクロ」にアルゼンチンから一時帰国の奥村友紀さんのバンドネオン、青木菜穂子さんのピアノによるドゥオ曲が鳴り響いた。

思えば2012年にブエノスに訪亜した時に現地に滞在していた知人にご案内していただいて大編成のオルケスタ・サンスーシの演奏を目の前で聴く機会があった。古き佳き時代の香りとエレガンシーな大人の佇まいを感じさせる21曲の演奏すべてに大感激。そのサン・スーシに奥村さんがバンドネオン奏者としていらしたのだ。ご紹介を受け、彼との縁が始まった。3年前の一時帰国ライブは、成城の「カフェ・ブルーマン」で、そして今回は「エル・チョクロ」で、帰国ライブを聴かせていただいた。

エル・チョクロライブでの選曲は、”Sur”に代表されるようにアニバル・トロイロ作品が多く、彼のトロイロに対するリスペクトをたくさん感じた。ブエノスでは、トロイロスタイルの「オルケスタ・ピチューコ」でも正規メンバーなので納得だ。それと訪亜前は京都のアストロ・リコの門奈氏にバンドネオンの手ほどきを受けていたそうで、「君はアニバル・トロイロに似ているので、彼を目指しなさい」と言われたそうだ。そういえばなんとなくトロイロのチャーミングな眼差しが奥村さんに似ている。

ライブは、2部構成で1部の演奏はトロイロ作曲の”A Pedro Maffia”から始まり、1部最後の曲 “Melancólico”まで7曲演奏。
途中、”Sur”の演奏の前に歌詞を和訳してかなり長い時間をかけて解説されていた。

2部の演奏は、自作の”Preludio a perdido”から始まった。「失われたものへの前奏曲」という主題で作曲したそうだ。
私の一番好きなワルツ”Romance de barrio” が演奏されたときは曲の中にどっぷりと染まった。
最後は”Danzarín”からオトラの”Quejas de bandoneón”でブラボー との掛け声の中、1部と2部をあわせて全15曲で終了した。

奥村さんはアルゼンチンで、ミゲル・カロースタイルの「オルケスタ・サンスーシ」とトロイロスタイルの「オルケスタ・ピチューコ」、そして歌手のアリエル・アルディットが主催する「オルケスタ・アリエル・アルディット」と3つの楽団の正規メンバーで、日本人としては、現地で一番活躍している奏者といえる。

奥村さん・青木さんがブエノスで研鑽を積んだのは、「エスクエラ」(タンゴ学校オーケストラ)。現在、何人かの日本人が厳しい入学試験に合格して、本場で生のタンゴ奏法を学んで優秀な成績で卒業し、プロの道を歩んでいる方もみられるようになった。

これからのタンゴ界に明るい光を灯し続けて欲しい。

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